車の走行音を変化させて歩行者に危険を知らせる新手法を開発

知覚拡張システム研究室

車の走行音を変化させて歩行者に危険を知らせる新手法を開発

2026年7月21日 News Publication 0

当研究室の真柴雄一 (2026年3月博士課程修了、現・ポスドク研究員)らの研究成果が、学術誌 『IEEE Accessに掲載されました。

 本研究は、不快な警告音や強い振動に頼るのではなく、音響AR技術を用いて「車の走行音そのもの」をリアルタイム加工し、歩行者に危険を自然かつ効果的に認知させる新たな交通安全技術に関するものです。

▸論文および研究の概要


【論文タイトル】

“Modulating Auditory Looming Perception via Dynamic Frequency Shifting to Enhance Pedestrian Situation Awareness”
(歩行者の状況認識向上のための動的周波数シフトによる聴覚的ルーミング知覚の変調)

【内容】

車両走行音の周波数(音の高さ)を、衝突までの時間に応じて動的に高めることで、歩行者が接近車両を実際より「近く、速く」に知覚し、衝突リスクをより早期に見積もる手法を開発しました。警告音を用いずに歩行者に危険を知らせることができ、新しい注意誘導技術として期待されます。

【ポイント】

①不快な警告音に頼らない注意誘導
従来の警告音や強い振動は、利用者に心理的負担を与えたり「警告疲れ」を引き起こす課題があった。
本研究では、ヒアラブル端末等を通じて車両走行音の周波数(音の高さ)を接近に応じてリアルタイムに高く変化させる手法を提案。

②「近く・速く」感じる聴覚メカニズムの応用
人が音の接近を捉える「聴覚的接近知覚」に着目。VR空間での実験の結果、音を高く加工することで、歩行者が実際よりも「車が近く・速く接近している」と認識し、衝突リスクをより早い段階で見積もることを実証。

③走行音としての自然さを維持
音の高さを上げても走行音としての自然さが保たれ、歩行者の適切な回避行動を促せる可能性を示している。

※写真:(Image by Shutterstock AI Generator/Shutterstock)


最新の研究成果に関するプレスリリースが筑波大学公式サイトに掲載されています。
詳細は以下のリンクよりご覧ください。

筑波大学 公式プレスリリース(2026年7月21日掲載)

■ 掲載論文

【題名】 
Modulating Auditory Looming Perception via Dynamic Frequency Shifting to Enhance Pedestrian Situation Awareness
(歩行者の状況認識向上のための動的周波数シフトによる聴覚的ルーミング知覚の変調)

【掲載誌】
 IEEE Access

 【DOI】
10.1109/ACCESS.2026.3706113

■ 関連リンク